FacebookのFX広告から「自動売買ツール」詐欺に遭った
被害の経緯
Facebookで有名経済人の顔写真を使った「AIが自動で稼ぐFXツール」の広告をクリックしました。担当者が親身に説明してくれ、ツール使用料10万円を払うと毎月30万円の収益が出ると言われました。最初の月は本当に30万円の「利益」が画面に表示されましたが出金を申請すると「手数料」と称して追加入金を要求され、断ると残高がゼロになりました。
この事例は、一般的な手口の類型をもとに再構成したものです。特定の個人の体験そのものではありません。
この事例から学ぶこと
広告に著名人の画像が使われていても、その人が関わっているとは限らない。「自動売買で確実に稼げる」は金融商品取引法が禁じる言い方。
著名人の顔写真を無断で使った広告から、FXの自動売買ツールの購入や入金へ誘導する手口です。広告に本人の名前と写真が出ていても、その人がそのサービスに関わっているとは限りません。
この詐欺の特徴
- 著名人(堀江貴文・前澤友作などの名前)を無断使用したSNS広告
- 「AI自動売買」「絶対に負けないシステム」などの誇大表現
- 最初のツール購入代金を払わせてから、継続的に追加入金させる
- 管理画面上で利益が積み上がっているように見せかける
- 出金しようとすると「手数料」「税金」を要求して実際には出金できない
被害を防ぐために
広告に著名人の名前や写真が使われていても、その人がサービスに関わっているとは限りません。本人が公式サイトで案内しているサービス以外は信じないようにしましょう。金融商品取引法第38条第2号は、顧客に対し「不確実な事項について断定的判断を提供し、又は確実であると誤解させるおそれのあることを告げて」金融商品取引契約の締結を勧誘することを禁じています。登録を受けていない業者が金融商品取引業を行うこと自体も、同法第29条で禁じられています。
被害にあったら
- 警察のサイバー犯罪相談窓口(各都道府県警察)に届出
- 金融庁に無登録業者として情報提供
- 弁護士への相談(集団訴訟の可能性も)
- SNSプラットフォームへの広告報告
法律ではどう定められているか
投資の勧誘に関する規制(金融商品取引法)
金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第29条は「金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができない」と定めています。登録を受けていない者が投資を勧誘して契約を結ばせること自体が、この規定に反します。
登録を受けた業者であっても、第38条第1号は「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為」を禁じています。同条第2号は「顧客に対し、不確実な事項について断定的判断を提供し、又は確実であると誤解させるおそれのあることを告げて金融商品取引契約の締結の勧誘をする行為」を禁じています。
さらに第39条第1項第1号は、顧客に損失が生ずることとなった場合、またはあらかじめ定めた額の利益が生じないこととなった場合に、その全部または一部を補塡するため財産上の利益を提供する旨を申し込んだり約束したりする行為を禁じています(損失補塡等の禁止)。
つまり「元本保証」「年利○%を保証」という言葉は、相手が登録業者であれば第38条第2号や第39条が禁じている話であり、登録業者でなければそもそも第29条に反します。どちらであっても、そのまま受け取ってよい約束ではありません。金融庁は登録を受けた金融商品取引業者の一覧を公表しているので、相手の商号で確認できます。
条文:e-Gov法令検索(法令ID 323AC0000000025)
詐欺罪(刑法)
刑法(明治40年法律第45号)第246条第1項は「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する」と定めています。同条第2項は、財物ではなく「財産上不法の利益」を得た場合、または他人に得させた場合も同じ刑にすると定めています。
第246条の2(電子計算機使用詐欺)は、人ではなく「人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り」、それによって財産上不法の利益を得た場合も、同じく十年以下の拘禁刑に処すると定めています。
条文:e-Gov法令検索(法令ID 140AC0000000045)
振込先の口座からお金を取り戻す制度(振り込め詐欺救済法)
振込によって金銭をだまし取られた場合には、「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律」(平成19年法律第133号)にもとづく手続きがあります。
同法第12条第1項は、被害回復分配金の支払を受けようとする者は、支払申請期間内に、申請書に資料を添付して「対象預金口座等に係る金融機関に申請をしなければならない」と定めています。申請先は振込先の口座がある金融機関です。同条第3項は、この申請を、振込みの依頼をした金融機関を経由して行うこともできると定めています。
同法第11条第2項は、その支払申請期間について「同項の規定による公告があった日の翌日から起算して三十日以上でなければならない」と定めています。法律が定めているのは30日という下限であり、期間は無期限ではありません。口座が凍結されているか、公告が出ているか、申請期間がいつまでかは、振込先の金融機関に問い合わせて確認してください。
この制度は、凍結された口座に残っている資金を被害者に分配するものです。口座に資金が残っていなければ分配は行われず、支払われる額も失った額と同じとは限りません。
条文:e-Gov法令検索(法令ID 419AC1000000133)
条文は e-Gov 法令検索で公開されている法令本文から引用しています。ある行為がこれらの条文に当たるかどうかを判断するのは捜査機関と裁判所です。このページは条文を示すだけで、個別の事案についての法的な判断を示すものではありません。