サポート詐欺の手口と対処法|偽の警告画面・電話に出てしまったときの対応
パソコンやスマートフォンでインターネットを見ているときに突然表示される「ウイルスに感染しました」という警告画面。表示された番号に電話をかけると、遠隔操作ソフトのインストールと高額なサポート料金を要求されます。国民生活センターへの相談件数は年間5,000件台で推移していましたが、2023年度は前年同期比で約1.3倍に増加し、特に70歳以上の相談が大幅に増えています。本記事では、実際の警告画面の特徴・電話をかけてしまった場合の対処法・相談窓口を、国民生活センターとIPA(情報処理推進機構)の公開情報にもとづいて解説します。
サポート詐欺とは|相談件数は年5,000件台で推移し急増中
サポート詐欺(テクニカルサポート詐欺)とは、パソコンやスマートフォンでインターネットを利用している最中に、突然「ウイルスに感染しています」といった偽の警告画面や警告音を表示させ、画面に記載された電話番号に電話をかけさせて偽のサポート窓口に誘導し、遠隔操作ソフトのインストールや高額なサポート料金の支払いを求める詐欺の手口です。
国民生活センターが2024年3月に発表した情報によると、サポート詐欺に関する相談件数は近年年間5,000件台で推移してきましたが、2023年度は2022年度の同時期と比べて約1.3倍に増加しました。特に70歳以上の相談件数が大幅に増加しており、新たな手口としてインターネットバンキングで送金を指示されるケースも確認されています。
大原則:警告画面の電話番号には絶対にかけない
マイクロソフトやアップルなどの正規のサポートが、警告画面を通じて突然電話をかけさせることは一切ありません。警告画面に記載された番号への電話そのものが詐欺の入口です。
こんな警告画面・電話は詐欺です
サポート詐欺には共通するパターンがあります。以下に当てはまる場合は詐欺を強く疑ってください。
- ブラウザ全画面に大音量の警告音とともに表示される:「ウイルスに感染しました」「パソコンがブロックされました」という文言が画面いっぱいに表示される
- 「マイクロソフト」「アップル」「ウイルスバスター」などの著名企業名を名乗る電話番号が表示される:本物の企業がこの方法で連絡することはない
- 「遠隔操作をさせてほしい」と要求してくる:AnyDesk・TeamViewerなどの遠隔操作ソフトのインストールを求める
- コンビニでのギフトカード・電子マネー購入による支払いを求める:Amazonギフト券・Apple Gift Cardなどの番号を電話で伝えるよう指示する
- 画面が閉じられないよう操作されている:「×」ボタンを押しても消えない、ブラウザが固まったように見える
- インターネットバンキングでの送金を指示する(新しい手口):「修理代金として少額を入力してください」と言いながら、遠隔操作で桁数を書き換えて多額の送金をさせる
実際の手口|警告音から高額請求までの流れ
国民生活センターに寄せられた相談事例をもとに、代表的な手口の流れを整理しました。
最も多いパターン 警告画面→電話→遠隔操作ソフトのインストール→「駆除費用」としてギフトカード購入を指示 ギフトカードで支払うと取り戻すことはほぼ不可能
近年増加 「修理代100円」と入力させ、遠隔操作でゼロを追加し実際には100万円を送金させる 少額のつもりで操作しても、画面を遠隔操作されている間は金額の改ざんに気づけない
国民生活センターの相談事例では、パソコンの修理代として100円を支払うつもりでネットバンキングの送金額を入力したところ、遠隔操作によって末尾に「0」を追加され、100万円が送金されてしまったケースが報告されています(2023年7月受付・70歳代男性)。遠隔操作ソフトをインストールした時点で、画面上のすべての操作が相手に見られ、かつ操作される危険があることを理解しておく必要があります。
被害にあってしまったときの対処法
- 警告画面が出ている間は、記載された電話番号に絶対に電話しないでください。ブラウザを強制終了(Alt+F4、またはタスクマネージャーから終了)してください
- すでに遠隔操作ソフトをインストールしてしまった場合は、今すぐアンインストールし、パソコンをネットワークから切断してください
- ギフトカードや電子マネーを購入したが番号をまだ伝えていない場合は、購入したコンビニやカード発行会社に連絡し、無効化を依頼してください
- すでに送金・支払いをしてしまった場合は、銀行やカード会社に連絡し、取引の停止や返金交渉(クレジットの場合はチャージバック)について相談してください
- パソコンの状態確認や警告画面の消去方法について技術的な相談をしたい場合は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の情報セキュリティ安心相談窓口に連絡してください
- 警察(#9110)と消費生活センター(188)にも被害を報告してください
電話をかけただけ・警告画面を見ただけなら被害はない
警告画面が表示された、あるいは電話をかけて話をしただけで、遠隔操作や支払いをしていない場合は金銭的な被害は発生していません。ただし同様の画面が再度表示される可能性があるため、家族と対応方法を共有しておくと安心です。
予防のためにできること
- 「×」で閉じられない警告画面は落ち着いて対処する:本物のウイルス感染ではないため、慌てて電話をかける必要はない
- ブラウザの通知・ポップアップ設定を見直す:不審な広告サイトからの通知を許可しないよう設定する
- 遠隔操作ソフトは自分で導入を判断したときだけ使う:電話越しの指示でインストールを求められたら詐欺と判断する
- 家族に「警告画面が出たらまず自分に相談する」というルールを決めておく:特に高齢の家族がいる場合は事前の周知が重要
- クレジットカードの利用限度額を必要な範囲に抑える:1回あたりの被害額を抑える効果がある
高齢の家族がいる場合、通帳・キャッシュカードの管理方法と合わせて対策を進めると効果的です。詳しくは高齢の親の通帳・キャッシュカードを守る詐欺対策で解説しています。
相談先
相談先の全体像や準備しておくべき記録については詐欺の相談先ガイドで詳しく解説しています。フィッシング詐欺・偽メールなど他のサイバー詐欺の見分け方はサポート詐欺(テクニカルサポート詐欺)の手口一覧もご覧ください。
よくある質問
Q. パソコンに「ウイルスに感染した」という警告画面が出た。すぐに消せないがどうすればいいですか?
A. 表示された電話番号には絶対に電話をかけないでください。Windowsの場合は「Alt+F4」またはタスクマネージャー(Ctrl+Shift+Esc)でブラウザを強制終了します。スマートフォンの場合はアプリ切り替え画面からブラウザを閉じてください。警告音が鳴っていても、実際にウイルスに感染しているわけではありません。
Q. 遠隔操作ソフトをインストールしてしまいました。もう手遅れですか?
A. 手遅れではありません。まずソフトを今すぐアンインストールし、パソコンをネットワークから切断してください。その後、銀行・メール・SNSなど主要なパスワードをすべて変更し、身に覚えのない送金がないか口座履行を確認してください。不安な場合はIPAの情報セキュリティ安心相談窓口(03-5978-7509)に相談できます。
Q. ギフトカードの番号をすでに伝えてしまいました。取り戻せますか?
A. 番号を伝えた直後であれば、購入したコンビニやギフトカードの発行会社に連絡すると使用を停止できる場合があります。時間が経っている場合は取り戻せない可能性が高いですが、警察(#9110)と消費者ホットライン(188)に相談することで、同種被害の拡大防止と今後の対応の助言を受けられます。