給付金・助成金詐欺の手口と対処法|「あなたは対象者です」という連絡に注意
「あなたは給付金の対象者です」「もらい忘れた助成金があります」という連絡をきっかけに、個人情報や手数料をだまし取る、あるいは不正受給に加担させる「給付金・助成金詐欺」。国民生活センターによると、失業保険の給付額を増やせると持ちかける申請サポートに関する相談は、2021年度42件から2024年度217件へと5年間で5倍以上に増加しています。給付金という言葉に安心してしまい、疑いを持たないまま個人情報を伝えてしまうケースが目立ちます。本記事では、国民生活センターの公開情報にもとづき、実際の手口・還付金詐欺との違い・対処法を解説します。
給付金・助成金詐欺とは|相談件数は5年で5倍以上に増加
給付金・助成金詐欺とは、国や自治体の給付金・助成金制度を名目に、個人情報や手数料をだまし取ったり、受給資格のない人に不正受給を持ちかけたりする手口です。新型コロナウイルス関連の給付金が支給された時期には、給付金やワクチンを口実にした詐欺的な勧誘が多発し、国民生活センターは臨時の専用ホットラインを設置していました(このホットラインは2022年6月に受付を終了しており、現在は通常の消費者ホットライン188番で受け付けています)。
近年は「失業保険の給付額等を増やすことができる」とうたう申請サポートに関する相談が増えています。国民生活センターの発表(2025年12月3日)によると、この種の相談件数は2021年度42件、2022年度54件、2023年度113件、2024年度217件、2025年度は10月31日時点で216件と、5年間で5倍以上に急増しています。
大原則:公的機関は事前の手数料を求めない
国や自治体の給付金・助成金は、申請手続きの前に手数料や保証金を求めることはありません。「受給のために先にお金が必要」という説明が出た時点で詐欺を疑ってください。
こんな連絡は詐欺・違法勧誘を疑ってください
- 「あなたは給付金の対象者です」というSMS・メール:記載されたリンクから個人情報や口座番号の入力を求める
- 「失業保険の給付額を増やせる」「本来より多く受け取れる」という勧誘:不正受給を前提とした違法な申請サポートの可能性が高い
- 「サポート料」「手続き代行料」として事前に金銭を要求する:正規の申請手続きに手数料が発生することは基本的にない
- 「あなたの持続化給付金の不正受給がわかった。返還のため連絡してください」という脅迫的な連絡:過去の給付金を口実にした架空請求の一種
- 「市役所」「厚生労働省」を名乗る電話で、口座番号や個人情報を聞き出そうとする:公的機関がこの方法で個人情報を確認することはない
実際の手口|不正受給の勧誘と個人情報の聞き出し
国民生活センターに寄せられた事例をもとに、代表的な手口を整理しました。
近年急増 「失業保険の給付額を増やせる」と持ちかけ、虚偽の申請をさせようとする 応じると受給者自身が不正受給の当事者になり、返還・刑事責任を負う可能性がある
特に「失業保険の給付額を増やすことができる」という勧誘は、SNSで見かけた情報や知人からの紹介を通じて広がることがあります。手続きを代行してもらう形式であっても、内容が虚偽の申請であれば受給者自身が不正受給の当事者として扱われる可能性があるため、少しでも疑わしい内容の場合は応じないことが重要です。
「サポート」を名乗る個人や業者が、離職理由の偽装や在職状況の虚偽申告を提案してくる場合もあります。こうした提案は一見親切なアドバイスのように聞こえますが、結果的に虚偽の申請を行った本人が返還請求や刑事責任を負うことになるため、給付額を増やす具体的な方法を持ちかけられた時点で、まずハローワークに相談して事実確認をすることが重要です。給付額の算定方法や条件の変更については、必ず正規のハローワークや自治体の窓口で確認し、第三者から教えられた情報だけを信用しないことが大切です。
還付金詐欺との違い
給付金詐欺は「還付金詐欺」と混同されやすいですが、手口の中心が異なります。還付金詐欺は市区町村・税務署・年金事務所などの職員を名乗り、「税金や医療費の過払い金が還付される」と伝えてATMやネットバンキングを操作させ、実際には犯人の口座に振り込ませる手口です。ATMでの操作を伴う点が特徴で、詳しくは還付金詐欺の手口と対処法で解説しています。
一方、給付金・助成金詐欺はATM操作を伴わないケースが多く、SMS・メールでの個人情報の聞き出しや、不正受給への加担を促す点が特徴です。どちらも公的機関の名前を利用する点は共通していますが、「ATMに行くよう指示されたら還付金詐欺」「事前に手数料や個人情報を求められたら給付金詐欺」という切り分けで見分けることができます。
被害にあってしまったときの対処法
- 偽サイトに個人情報や口座番号を入力してしまった場合は、すぐに銀行やカード会社に連絡し、不正利用がないか確認してください
- 手数料を支払ってしまった場合は、消費生活センター(188)に相談してください
- 不正受給の勧誘に応じてしまった、または応じるか迷っている場合は、早めにハローワークや自治体の担当窓口に事実を伝えて相談してください
- 脅迫的な架空請求(過去の給付金の不正受給を口実にしたもの)が来た場合は、身に覚えがなければ無視してください。詳しくは架空請求・身に覚えのない請求への対処法で解説しています
- 警察(#9110)にも相談し、被害の記録を残してください
相談先
相談先の全体像は詐欺の相談先ガイドで詳しく解説しています。募金・義援金を口実にした詐欺については募金・義援金詐欺の手口と対処法もご覧ください。
よくある質問
Q. 「もらい忘れた給付金がある」というSMSが来ました。本当でしょうか?
A. ほぼ詐欺と考えて間違いありません。国や自治体が給付金の案内をSMSやメールで個別に送り、リンク先で個人情報や口座情報を入力させることは基本的にありません。給付金の情報は必ずお住まいの自治体の公式サイトや広報で確認し、記載されたリンクはクリックしないでください。
Q. 失業保険の給付額を増やせるという申請サポートに応じてしまいました。どうなりますか?
A. 内容によっては不正受給に加担したとみなされ、給付金の返還や刑事罰の対象になる可能性があります。心当たりがある場合は、早めにハローワークまたは最寄りの消費生活センター(188)に相談し、事実関係を確認してください。
Q. 給付金詐欺と還付金詐欺はどう違いますか?
A. 還付金詐欺は「税金や医療費の過払い金が還付される」と伝えてATMやネットバンキングで振込操作をさせる手口です。給付金・助成金詐欺は、実在する(または存在しない)給付制度を名目に、個人情報や手数料をだまし取ったり、不正受給を促したりする手口を含みます。いずれも公的機関がATMでの操作や事前の手数料支払いを求めることは一切ありません。