マッチングアプリで知り合った「医師」に500万円
被害の経緯
夫を亡くして寂しかった時期に、マッチングアプリで海外赴任中の医師と知り合いました。毎日メッセージをくれて、気持ちが楽になりました。半年後「緊急手術が必要な患者のために機材費が必要」と言われ、断れず少しずつ送金。気づいたら500万円以上になっていました。会うことは一度もありませんでした。
この事例は、一般的な手口の類型をもとに再構成したものです。特定の個人の体験そのものではありません。
この事例から学ぶこと
海外在住・写真がイケメン・すぐに深い関係になろうとする相手は要注意。お金の話が出た瞬間に詐欺を疑う。
ロマンス詐欺は感情的なつながりを悪用する非常に悪質な詐欺です。被害者は「本当に好きになった相手に騙された」という二重の傷を負います。会えない理由として、海外在住の医師・軍人・技術者などの立場を名乗る形があります。
この詐欺の特徴
- マッチングアプリやSNSで接触し、毎日連絡して親密な関係を作る
- 「海外在住」「軍人」「医師」「エンジニア」など会えない理由を作る
- プロフィール写真にモデルや著名人の画像が無断で使われていることがある
- 長期間(数ヶ月〜1年以上)かけて信頼関係を構築してから金銭要求
- 「医療費」「税関でトラブル」「投資の機会」など名目はさまざま
被害を防ぐために
写真の画像検索(Googleの逆画像検索)で同じ写真が別の人物として使われていないか確認しましょう。どんなに親密になっても、ビデオ通話で顔を確認するまでは信頼しないこと。特にお金の話が出た瞬間は詐欺を疑ってください。一度も会ったことのない相手への送金は絶対にしてはいけません。
被害にあったら
- 警察署でロマンス詐欺の相談をする(サイバー犯罪相談窓口)
- 振込先への返金要請(振込直後なら止められる可能性あり)
- 国民生活センター(188)への相談
- 被害者同士のコミュニティで情報共有(NPO法人や支援団体)
精神的なケアも重要
ロマンス詐欺では「だまされた」という羞恥心から相談をためらってしまうことがありますが、相手は感情的なつながりを作るところから計画している犯罪であり、被害者に落ち度はありません。信頼できる家族や友人に話すことが回復への第一歩です。
法律ではどう定められているか
詐欺罪(刑法)
刑法(明治40年法律第45号)第246条第1項は「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する」と定めています。同条第2項は、財物ではなく「財産上不法の利益」を得た場合、または他人に得させた場合も同じ刑にすると定めています。
第246条の2(電子計算機使用詐欺)は、人ではなく「人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り」、それによって財産上不法の利益を得た場合も、同じく十年以下の拘禁刑に処すると定めています。
条文:e-Gov法令検索(法令ID 140AC0000000045)
振込先の口座からお金を取り戻す制度(振り込め詐欺救済法)
振込によって金銭をだまし取られた場合には、「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律」(平成19年法律第133号)にもとづく手続きがあります。
同法第12条第1項は、被害回復分配金の支払を受けようとする者は、支払申請期間内に、申請書に資料を添付して「対象預金口座等に係る金融機関に申請をしなければならない」と定めています。申請先は振込先の口座がある金融機関です。同条第3項は、この申請を、振込みの依頼をした金融機関を経由して行うこともできると定めています。
同法第11条第2項は、その支払申請期間について「同項の規定による公告があった日の翌日から起算して三十日以上でなければならない」と定めています。法律が定めているのは30日という下限であり、期間は無期限ではありません。口座が凍結されているか、公告が出ているか、申請期間がいつまでかは、振込先の金融機関に問い合わせて確認してください。
この制度は、凍結された口座に残っている資金を被害者に分配するものです。口座に資金が残っていなければ分配は行われず、支払われる額も失った額と同じとは限りません。
条文:e-Gov法令検索(法令ID 419AC1000000133)
条文は e-Gov 法令検索で公開されている法令本文から引用しています。ある行為がこれらの条文に当たるかどうかを判断するのは捜査機関と裁判所です。このページは条文を示すだけで、個別の事案についての法的な判断を示すものではありません。