偽警察官から「口座が犯罪に使われた」と言われ全額移動
被害の経緯
警視庁を名乗る人物から「あなたの口座が振り込め詐欺グループに利用されています。資産を守るため、指定口座に一時的に移してください」と電話がありました。丁寧な口調と警察手帳の番号まで伝えてきたため本物と思い、貯金380万円を振り込みました。後日、警察に確認したところ全く別人だとわかりました。
この事例は、一般的な手口の類型をもとに再構成したものです。特定の個人の体験そのものではありません。
この事例から学ぶこと
警察・検察が「資産保護のため別口座へ移せ」と言うことは絶対にない。必ず110番で確認する。
「口座凍結詐欺」「資産保護詐欺」と呼ばれる手口で、警察・検察・金融庁などを名乗ります。「あなたの資産を守るため」という名目で移動させることで、被害者が「守られた」と思い込んでしまうことがあります。
この詐欺の特徴
- 警察・検察・金融庁・NTTなど公的機関や大企業を名乗る
- 「あなたの口座が犯罪に使われている」「口座が不正利用された」と焦らせる
- 「安全な口座に移す必要がある」と指定口座への送金を要求
- 警察手帳番号・事件番号など「証明」のように見えるものを提示
- 「口外するな」「家族に言うな」と他からの確認を防ぐ
被害を防ぐために
警察・検察・金融庁・銀行は電話で「指定口座に移してください」と言うことは絶対にありません。電話を切って、110番(警察)や金融機関の公式番号に自分でかけ直して確認しましょう。「秘密にしてほしい」「急いで」という言葉は詐欺の証拠です。
被害にあったら
- すぐに110番通報
- 振込先銀行に口座凍結申請
- 被害届を警察に提出
- 弁護士に相談して被害回復の可能性を検討
法律ではどう定められているか
詐欺罪(刑法)
刑法(明治40年法律第45号)第246条第1項は「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する」と定めています。同条第2項は、財物ではなく「財産上不法の利益」を得た場合、または他人に得させた場合も同じ刑にすると定めています。
第246条の2(電子計算機使用詐欺)は、人ではなく「人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り」、それによって財産上不法の利益を得た場合も、同じく十年以下の拘禁刑に処すると定めています。
条文:e-Gov法令検索(法令ID 140AC0000000045)
振込先の口座からお金を取り戻す制度(振り込め詐欺救済法)
振込によって金銭をだまし取られた場合には、「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律」(平成19年法律第133号)にもとづく手続きがあります。
同法第12条第1項は、被害回復分配金の支払を受けようとする者は、支払申請期間内に、申請書に資料を添付して「対象預金口座等に係る金融機関に申請をしなければならない」と定めています。申請先は振込先の口座がある金融機関です。同条第3項は、この申請を、振込みの依頼をした金融機関を経由して行うこともできると定めています。
同法第11条第2項は、その支払申請期間について「同項の規定による公告があった日の翌日から起算して三十日以上でなければならない」と定めています。法律が定めているのは30日という下限であり、期間は無期限ではありません。口座が凍結されているか、公告が出ているか、申請期間がいつまでかは、振込先の金融機関に問い合わせて確認してください。
この制度は、凍結された口座に残っている資金を被害者に分配するものです。口座に資金が残っていなければ分配は行われず、支払われる額も失った額と同じとは限りません。
条文:e-Gov法令検索(法令ID 419AC1000000133)
条文は e-Gov 法令検索で公開されている法令本文から引用しています。ある行為がこれらの条文に当たるかどうかを判断するのは捜査機関と裁判所です。このページは条文を示すだけで、個別の事案についての法的な判断を示すものではありません。