偽の宅配アプリをインストールしてスマホを乗っ取られた
被害の経緯
「荷物の再配達手続きはこちらのアプリが便利です」というSMSが届き、リンクからアプリをインストールしました。その後、スマホが遠隔操作され、ネットバンキングに不正ログインされて口座から55万円が引き出されました。インストールしたアプリは偽物で、銀行のIDとパスワードを抜き取るマルウェアでした。
この事例は、一般的な手口の類型をもとに再構成したものです。特定の個人の体験そのものではありません。
この事例から学ぶこと
公式アプリ以外はインストールしない。SMSのリンクからアプリを入れるよう誘導するのは詐欺の典型。
宅配業者・銀行・公共料金などを装ったSMSから偽アプリ(マルウェア)を入れさせ、スマホ内の情報を盗む手口です。
この詐欺の特徴
- 宅配業者・銀行・電力会社などを装ったSMSでリンクを送付
- リンク先で公式アプリに見せかけた偽アプリのインストールを誘導
- インストールすると銀行アプリのIDパスワードや個人情報を盗む
- スマホを遠隔操作してネットバンキングの不正送金を行う
- iOSは公式ストア以外からのインストールに制限があるため、誘導先はAndroid向けのファイルであることが多い
被害を防ぐために
アプリはApp Store(iOS)またはGoogle Play(Android)の公式ストアからのみインストールしましょう。SMSのリンクからアプリをインストールするよう誘導されたら、そのリンクは開かないでください。銀行アプリは定期的にパスワードを変更し、二段階認証を設定しましょう。
被害にあったら
- すぐに銀行に連絡して口座を停止
- スマホを初期化(マルウェアの完全削除のため)
- 警察のサイバー犯罪相談窓口に届出
- 銀行に不正送金の補償を申し出る。補償の可否と条件は各行の規定によるので、まず取引先の銀行に確認する
法律ではどう定められているか
盗んだIDとパスワードでログインする行為(不正アクセス禁止法)
不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成11年法律第128号)第3条は「何人も、不正アクセス行為をしてはならない」と定めています。同法第2条第4項第1号は、その一つを、アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて「当該アクセス制御機能に係る他人の識別符号を入力して当該特定電子計算機を作動させ、当該アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為」と定義しています。
第11条は、第3条の規定に違反した者を「三年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する」と定めています。
これは、他人のIDとパスワードを実際に入力してログインした段階を対象とする規定で、入力を求める行為を禁じた第7条とは別の行為です。
条文:e-Gov法令検索(法令ID 411AC0000000128)
詐欺罪(刑法)
刑法(明治40年法律第45号)第246条第1項は「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する」と定めています。同条第2項は、財物ではなく「財産上不法の利益」を得た場合、または他人に得させた場合も同じ刑にすると定めています。
第246条の2(電子計算機使用詐欺)は、人ではなく「人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り」、それによって財産上不法の利益を得た場合も、同じく十年以下の拘禁刑に処すると定めています。
条文:e-Gov法令検索(法令ID 140AC0000000045)
条文は e-Gov 法令検索で公開されている法令本文から引用しています。ある行為がこれらの条文に当たるかどうかを判断するのは捜査機関と裁判所です。このページは条文を示すだけで、個別の事案についての法的な判断を示すものではありません。