電力会社の「契約切り替えキャンペーン」で個人情報を取られた
被害の経緯
電力会社を名乗る男性が訪問し、「今すぐ切り替えると電気代が半額になるキャンペーン中です」と言い、その場で契約書に署名・銀行口座番号を記入させました。後日、口座から身に覚えのない引き落としが続き、電力会社に確認したところ「そのような訪問販売員は存在しない」と回答されました。
この事例は、一般的な手口の類型をもとに再構成したものです。特定の個人の体験そのものではありません。
この事例から学ぶこと
訪問販売ではその場でサインしない。クーリングオフ期間(8日以内)に必ず本物かどうかを確認する。
電力会社や電話会社を装って自宅を訪ね、「電気代が安くなる」という言葉で契約書への署名や口座情報の記入をさせる手口です。
この詐欺の特徴
- 「電力会社の関連会社」「公認代理店」などを名乗る
- 「今だけキャンペーン」「今日中に手続きしないと適用されない」と焦らせる
- その場で契約書へのサインと口座情報の記入を求める
- 本物の電力会社に似た名前・ロゴ・書類を使う
- 後日、不明な引き落としや無断の個人情報売買が行われる
被害を防ぐために
訪問販売では、その場でサインしないことが原則です。業者名・担当者名・連絡先を必ず確認し、後日自分で本社に電話して確認しましょう。クーリングオフ制度(訪問販売は8日以内)を必ず活用してください。銀行口座番号を記入させる訪問業者は要注意です。
被害にあったら
- 消費生活センター(188)にすぐ相談(クーリングオフの手続き)
- 銀行に不正引き落としとして申請
- 警察への届出(詐欺または不正競争防止法違反の可能性)
- 電力会社の公式サイトで正規の代理店かどうかを確認
公表されている相談件数
全国の消費生活センター等に寄せられた「電力の自由化」に関する相談は、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)に次のように登録されています。
| 年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | 2026年度 |
|---|---|---|---|---|
| 相談件数 | 4,524 | 4,514 | 4,508 | 493 |
出典:独立行政法人国民生活センター「電力の自由化」(PIO-NETに登録された相談件数の推移)2026年7月31日更新。https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/electricity_gas.html
相談件数は2026年5月31日現在(消費生活センター等からの経由相談は含まれていません)。2026年度の欄は年度の途中までの件数です。2026年度の同じ時点における前年同期の件数は526件です。
同じページには「ガスの自由化」の相談件数も掲載されており、2023年度587件、2024年度530件、2025年度534件、2026年度69件(前年同期59件)です。
これは全国の消費生活センター等に寄せられた相談の件数です。詐欺の発生件数でも被害の件数でもありません。相談されなかった事例は含まれず、相談された内容がすべて詐欺と確認されたものでもありません。
法律ではどう定められているか
訪問販売に関する規制(特定商取引法)
特定商取引法(昭和51年法律第57号)第6条第1項は、訪問販売の勧誘に際して、また申込みの撤回や解除を妨げるために、商品や役務の種類・内容、販売価格や対価、支払の時期と方法、引渡しや提供の時期、契約の申込みの撤回や解除に関する事項などについて「不実のことを告げる行為」を禁じています。同条第2項はこれらの一部について「故意に事実を告げない行為」を、第3項は契約を締結させたり撤回・解除を妨げたりするために「人を威迫して困惑させ」ることを禁じています。
第9条第1項は、営業所等以外の場所で申込みや契約をした場合について、第5条第1項または第2項の書面を受領した日から起算して8日を経過するまでは、書面または電磁的記録によって申込みの撤回または契約の解除ができると定めています(クーリング・オフ)。同項ただし書は、事業者が第6条第1項に違反して撤回・解除に関する事項について不実のことを告げたことにより誤認した場合や、同条第3項に違反して威迫したことにより困惑した場合で、そのために8日が過ぎてしまったときは、あらためて撤回等ができる旨を記載した書面を受領した日から8日を数えると定めています。
同条第3項は、申込みの撤回等があった場合に事業者が損害賠償や違約金の支払を請求できないことを、第4項は引き取りや返還に要する費用が事業者の負担になることを定めています。第8項は、これらの規定に反する特約で申込者等に不利なものは無効であると定めています。
条文:e-Gov法令検索(法令ID 351AC0000000057)
詐欺罪(刑法)
刑法(明治40年法律第45号)第246条第1項は「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する」と定めています。同条第2項は、財物ではなく「財産上不法の利益」を得た場合、または他人に得させた場合も同じ刑にすると定めています。
第246条の2(電子計算機使用詐欺)は、人ではなく「人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り」、それによって財産上不法の利益を得た場合も、同じく十年以下の拘禁刑に処すると定めています。
条文:e-Gov法令検索(法令ID 140AC0000000045)
条文は e-Gov 法令検索で公開されている法令本文から引用しています。ある行為がこれらの条文に当たるかどうかを判断するのは捜査機関と裁判所です。このページは条文を示すだけで、個別の事案についての法的な判断を示すものではありません。